新潟県長岡市、自社大工の居る工務店 稲垣建築事務所、稲垣です。
「無垢の木は生きている」
無垢の木を扱う材木屋さんや建築屋さんが良く使うフレーズがありますが、、、、
いえ、成長しないのだから、“樹木”としての生涯は既に全うされています。
ただ、その細胞レベルの組成から、
湿気を貯めこんだり吐き出したりして板や角材になっても収縮(変位)するので
「生きている」と表現されているのだと理解しています。
(集成材でもその割合が少ないだけで収縮はします)
(木を原料とする紙も同じですよね)
「木は古いほど価値がある」
この言葉、完全に受け売りです。
親しくしていただいている県内の材木屋社長の言葉。
木は割れる。木は反る。木は狂う。
先程の「無垢の木は生きている」と言う言葉にも繋がりますが
その原因のほとんどは木に含まれている水分。いわゆる含水率です。
(あとは樹木としてどんなところにどんな風に育ったのか、生い立ちも関係します)
木は古ければ古いほど(一般的には)含水率が低く、狂いにくいとされますし、
埃をかぶって本来の色で亡くなった木でも、ほんの少し削ってあげれば真新しい材面が現れます。
新しくなった材面もまた経年変化でその色は深く変わっていきます。
一体何を言いたいのかと申しますと
ホンモノの木は(本当は)古くならないのです。
何十年、何百年、中には何千年と“樹木”として生きて来て
人の手によって製材され“樹木”から“木”に形を変えて、成長できなくなってしまっても
ホンモノの木は古くならずに深くなるのです。
そう思っています。
写真は
赤松(地松)、杉、ケヤキ、桧、和材を多用したお宅。
旧家から取外した赤松(地松)の丸太梁と
ケヤキの差し鴨居を再生させたお宅です。
この差し鴨居なんて恐らく製材されてから100年は経とうとしていますが
表面をわずか0.何ミリ削っただけで本来のケヤキの色を取り戻しますし、
同時に、いったん刃物を入れるとそれがわずかな深さでも、また変形しようとしたりします。
どんなに古くても価値がある。それがホンモノの木の価値です。
実は弊社には歴史ある農家さんで使われていた蔵戸が沢山あるのですが
写真を撮ろうにも、倉庫の一番奥にあるため一人じゃ引っぱり出せません。
その内、ご紹介できると思います。