折れた肋骨に響くのでクシャミと咳がとても怖い
新潟県長岡市、稲垣建築事務所の稲垣です。
油断して咳でもしようものなら目から火花が散る様な痛みが走ります。
さて、土地のお話の4回目。
そもそも「いい土地」ってなんなんでしょう?
新しく造成区画される分譲地は(長岡市辺りでは)60坪(200㎡)以上あって、間口も広めで、整形で、、、
それが「良い土地」の条件なのであれば新しい分譲地以外の“良い土地”は見つかりにくいのかもしれません。
昔の分譲地って間口が狭く奥行きが深い土地形状が多いですよね?
その形になっている理由と言うのがありまして、分譲地全体で見れば
間口が狭くて奥行きが深い土地を並べた方が、道路が少なくて済むんです。
分譲する側からいえば余計なコスト(=道路に掛かるコスト)が掛からないコスパのいい区画割りになるって事です。
間口が狭くて奥行きが深い土地形状はダメなのでしょうか?
土地が変形していたらダメなのでしょうか?
土地に高低差が有ったらダメなのでしょうか?
全然ダメでは無いと思っています。
土地の間口なんて間口5m(建物間口3.64m・2間)有れば楽しい住宅建てられるし
もっと言えば間口4m強あれば建物間口2.73m(1.5間)建てられるのでちゃんとした住まいは建てられます。
別に暗くも無ければ不便さを感じられることも無いかと思います。
変形した土地だって工夫次第では変形がメリットにもなり得ます。
高低差があるのなら家自体をスキップフロアにして高低差を逆手に取る事も出来ます。
そう言った土地でも楽しい住宅は建てられます(断言)
そう言った土地は周辺の相場から少しお安くなっていたりするので有り難くないですか?
、、、、ただし、、、、見えにくいコストが掛かります。
実体験があります。
建物間口2間がやっと、でもご家族構成(2世帯)やご要望など入れ込んだプラン(1台分のインナーガレージ)
にすると、どうしても60坪は超えてきます。しかも1階の方がずいぶん大きくなります。建て替え案件です。
道路側にはガレージの他に駐車スペース3台分。もちろん並列に並びません。
悪い事に前面道路は狭く4m。色々お打ち合わせを重ね、
建物間口2間(3.640m)奥行18間(32.76m)のプランになりました。
これ、なにがコストアップ?と思われるかもしれませんが
まず道路の狭さから大型の重機(レッカー車)が入れない。
基礎のコンクリート打設時のポンプ車、コンクリートミキサー車ですらやっと。
結果、基礎の造り方も奥半分と手前半分を別々に造り、
大型レッカー車が入れない為、建て方(上棟)も奥と手前に分けて、別日に行ないました。
これも建て替えで、別のお宅の敷地は町中にポツンと取り残されたような旗状敷地で接道は2m。
2m幅の通路状敷地の奥行きは10m、その先にある程度まとまった敷地。
このまとまった敷地の3方は5階建てマンション、残りの1方は3階建て事務所。
何が困るって、周りを背の高い建物で囲まれているわけで、しかも旗状、しかも通路幅2m、
基礎は何とか造れても、上棟する際のレッカー車が入る余地が無いのです。
えぇ、全て手作業ですよ。物凄い重い材木を全て大工さん方の人力で上げました。
ロープかけて引っ張り上げる感じです。後にも先にも全て人力の上棟はこの現場だけですが、
結果、背の高い建物に囲まれていても十分明るい住まいとなりました。
これらの例は見えにくいコストになります。
上の2つの例は双方とも建て替えでしたので、そこを去ると言う選択肢は最初からなかった。
じゃあ結局、最初の住まい作りなら、結局比較的新しい分譲地の方がいいんじゃん。
ではなく、どんな敷地でも楽しくて気持ちいい家は建てられますよ。とお伝えしたいのです。
そこで、初めての住まい造りをされる方向けに
土地の価格の安さだけで決めてしまうと後から痛い目にあいますよ
と言うパターンのお話をさせていただきます。
こんな長文を座って打込んでいると折れた肋骨が疼いてきます。