「木をデザインする」をコンセプトに新潟県長岡市を中心とした中越地域を主に
注文住宅・リノベーションからプチリフォームをお手伝いしている
稲垣建築事務所の稲垣です。
北海道で新聞配達員の男性がヒグマ被害によってお亡くなりになられたと言うニュース。
まずは亡くなられた男性とご家族に心から哀悼の意を表します。
地域の方々からすれば気軽に出掛ける事すらはばかられるようになり、その恐怖とご不便は容易に想像できます。
昨年、当地長岡市でも熊が出没したニュースがありました。
しかも私どものお客様のお子さんが通われる保育園の近く。街中で、山の中ではありません。
(現在でも熊の目撃はお客様から時折耳にします)
翻ってみると、弊社の工場がある地域でも昔は見た事も聞いた事も無かった
イノシシの子ども(ウリ坊)は割と頻繁に見るようになっています。
(と、いう事は親も近くには居たのでしょうね。イノシシも獰猛なので怖いです)
もともと、日本は広葉樹の国でした。山は広葉樹だらけだった筈です。
民家の近くに里山があり、そこに生える広葉樹を薪として利活用してきました。
戦後、成長の遅い広葉樹に代わって比較的成長が早く、真っすぐ育つ杉や桧が植林され始めると共に
木材を燃料(薪)として使う生活習慣も徐々に無くなっていきます。
ボクは母方のじーちゃん子でしたので小学校低学年くらいまでは
春は山菜取り、秋はキノコ採りに連れて行ってもらってまして、
山に入るとじーちゃんの知り合いの山主さんが杉林の下草刈り、枝払いをされるのを良く拝見しました。
そうやって杉を少しでも高価な木にするために惜しみない手間が掛けられていったのです。
そうして人間が入りやすい山は利活用されなくなった広葉樹から杉桧の山に変わっていきました。
(ちなみに新潟県での植林はほぼ100%杉と思われます)
植林された杉や桧は広葉樹と違い、熊のエサとなる実を付けません。
個体数が増えた上に、広葉樹林が無くなり、
その上、ナラ枯れに代表される広葉樹を枯らしてしまう病気(正確には虫)が蔓延している中で
エサのある所に降りてきてしまうのは当たり前の事だと思うのです。
(北海道ではその寒さからかナラ枯れは今のところ確認されていないようです)
(ナラ枯れと言うとナラ固有の病気に聞こえますが実際はナラ類・シイ類・カシ類、広葉樹に広く蔓延します)
野生と人間の共存なんて不可能だと思います。
共存できないのであれば区分するしかない。
広葉樹は寿命の長い木ですが、生き物である限りは当然、結実(実を付ける)適齢期があります。
実を付ける付けない以前に樹木の殆どは樹齢100年を超えたあたりから光合成をしなくなると聞いたこともあります。
光合成を止めて二酸化炭素を吸収しなくなり、多くの実をつけなくなった木を伐採し、
新たな広葉樹を植林して広葉樹の山を増やしていく。それがクマやイノシシの生息域になれるように。
野生動物に人間が殺められない様に、農作物被害が減る様に、
そして彼等も人里へ下りることなく暮らせるように。
まあ、言うのは簡単です。実際はすごく難しい問題が山積しています。
人間には無害でクマにだけ不快な音(周波数)とか匂いとか、なんか無いもんなんですかね?
因みに全都道府県で広葉樹の貯木量が一番多いのが北海道。継いで岩手県。
そして三番目はなんと新潟県。
意外ですよね。普段遠目に見る山々はほぼ杉の山です。