夏の終わりの高い空が見え始めました。
毎年ですがこの時期は浜田省吾さん「晩夏の鐘」が耳の中で木魂している
新潟県長岡市、木をデザインすると言う発想を実現するために自社大工にコダワル
稲垣建築事務所、稲垣です。
もしかしたらあなたが知らない大事な話④~木の含水率
天然素材である無垢の木の一番のデメリットは、もしかしたら反る・割れる・伸びる・縮む、、、、、
その特性をご理解いただけないといけません。
ただ、『木は生きているから動いて当たり前』と断じるのは建築屋側の逃げ口上の様な気もします。
そこでそれらのデメリットを無くした上で強度的にも優れる集成材が登場するわけですが
集成材でも縮むし反りますよ。
ボク的には木は生きている、、、と言うのは嘘で、製材された時点で生きてはいません。
成長しないのですから。(成長しないと書きましたがその辺りは後述します)
生きていないのにデメリットが生じるのは、
木の負の特性としての含水率(どれくらいの水分が含まれているか)と、
木の正の特性である調湿効果だと思っています。(湿気を吐いたり吸ったりしてくれる)
無垢の木材が動く(反り・割れ・収縮)のはその木の含水率と調湿性能が影響します。(それが全てでは無いのですが)
因みに絶乾状態(含水率0%)にするのはほぼ不可能ですし、出来たとしてもガサガサな木になってしまいます。
日本農林規格(JAS)では曲げ性能を重視する用途である甲種と圧縮性能を重視する用途である乙種に分けられ
仕上材は含水率はSD15(15%以下)とSD20(20%以下)。
未仕上材含水率ははD15(15%以下)、D20(20%以下)、D25(25%)に分けれています。
要は適材を適した含水率で使用する事が大切です。上記の含水率は構造材の目指すべき含水率です。
因みに、乾いていればいるほど強度が増すのか?と言うとそうでもなく、
含水率が5%以下になると細胞収縮が起こり強度低下が始まると言われています。
材木屋さんに聞いた話です。
どこかの建築屋さんがコストを抑える為に間柱等の壁、天井の下地材に未乾燥材を使用したところ
竣工1年待たずに壁天井のクロスがひび割れだらけになったと言う話も聞いています。
構造材だけでなく下地材の含水率も大切なのがよくわかります。
そして、無垢の床を含めた造作材等の仕上げ材含水率。
仕上げ材(造作材等)の含水率は可能であれば10%を切りたいところですがなかなか難しいのも現実。
目に見える仕上げ材(造作材等)ですから出来るだけ動く(反り・割れ・収縮)のを抑えたいワケです。
弊社は(恐らく)造作材ストックは多い方だと思っていますが、中には乾燥させるための保管中に
曲がって捻じれて使えなくなる材料もあります。
比較的曲がりや収縮が少ない柾目製材。柾目に製材するのはそれだけ材料ロスが出ますので
贅沢な製材木取りになりますが、どうしても曲がり収縮が許せないところには柾目を使っています。
↓ゼブラウッドの柾目
↓エンジュの板目
↓ゼブラウッドの無垢のテーブルが割れてしまった写真
弊社では住宅見学会開催にご理解ご協力いただけたお客様に無垢のダイニングテーブルを差し上げているのですが
1年以上経って割れてしまいました。
もともとゼブラウッドは予期せぬところから割れる事がある木ですが
含水率11%(⇐作成時に計りました)でかつ、仕上げてから1年以上経って割れるとは思っていませんでした。
(ただ、この割れ方は含水率や調湿作用を越えて、ビスの位置により材内応力が変化して割れたのかもしれません)
もちろん、速攻で作り直させていただきました。
無垢の木の家が建てたいならば木に詳しい建築屋さんにご相談くださいね。
木の世界はとっても奥が深いです。
次回
もしかしたらあなたが知らない大事な話④~木の使い方(外部編)
ちょっとだけ木の話を掘り下げます。
先程、製材後の木は成長しないと書きました。角材に製材された後であれば成長はしません。
ただ、伐採され丸太のまま転がっていても新しい芽が生えてきたりしますので
丸太のままでしたら成長しようと言う生物としての本能があるのかもしれません。