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もしかしたらあなたが知らない大事な話⑤~木の使い方(外部編)
COLUMN
2024.09.09

先週の老体に鞭打つかのような身体の酷使が祟って、未だにヒラヒラしている

新潟県長岡市、木をデザインすると言う発想をコンセプトにする稲垣建築事務所、稲垣です。

でも実は30代のデブの頃より体力あるのでは?と思っていたりします。

 

もしかしたらあなたが知らない大事な話⑤~木の使い方(外部編)

木は基本腐ります。外部に使う場合はよく考えないといけません。

ただ、使いようによってはとても長持ちする材料でもあります。

 

 

つい先日、主にSNS系で話題になっていました。

某世界的有名日本人建築家設計のある公共施設の外部に使った木材が朽ち果てている。と。

写真も見ましたが確かにボッロボロ。(長岡のあの建物もこの世界的巨匠の設計ですね)

建築後24年?だったかな?

「まあ、それくらいの期間ノーメンテナンスだったらそうなるよね。」

という意見と

「使い方がおかしくない?」

という意見が見られましたが、ボク的には双方の意見に頷けます。

木は濡れても、比較的早く乾いてくれれば腐りません。

木が腐ると言う現象は木材腐朽菌と言う名の木を腐らせる菌が、木材内部のセルロース・リグニンと言う

木材成分を破壊分解する事で起こります。

当然ながら腐朽菌は湿度の高い場所で活性化するため、雨でぬれてしまう屋外で使用する場合は

水切れ(濡れたとしても出来るだけ早く水分を除去できる)がいいように

使う場所、使用方法、納め方。いろいろ工夫をしないとそりゃ腐りますわね。

では、どうしたらいいのか?

①腐りにくい木を使う

ヒノキチオールと呼ばれる(主に匂いの成分)を含んでいる木を使う。

このヒノキチオール、“ヒノキ”と言う名が含まれていますのでヒノキに含まれていそうですが、

ヒノキにこの成分はありません。主にヒバ(青森ヒバ、能登ヒバ、米ヒバ)にしか含まれません。

ヒバ系はとても高価なので外部に使うには躊躇する金額です。

とは言え、ヒバ類でもヒノキでも使い方がおかしければ腐るんですけどね。

②防水性のある木を使う

水をはじくには脂(油)です。要は脂っ気の多い材料を使うのです。

例えば赤松(レッドパインはダメ)や唐松、セコイアレッドウッド等がそれに当たるでしょうか。

他にもタンニンと言う成分が多い木は水に強いとされていますが、、、、、

タンニンが多いのはクリ、ナラ等広葉樹が多く、水に強い弱い以前に外部で使ったら変形がハンパない気がしますので

個人的には無しです。杉もタンニンは多いですね。

③水に耐える(とされている)塗装を考える

外部に使う木材に塗装する場合その目的は

紫外線を防ぐ/虫を防ぐ/腐朽菌を防ぐ/防水効果を高める 主にはこれらが目的です。

塗装も一つの方法だと思います。ただし、水に弱いとされている木にどんな塗装をしてもほぼ無駄です。

塗ったものは必ず剥げます。浸透性塗料を使ったとしてもその成分は徐々に少なくなります。

塗装に頼る場合でも樹種は選ばないと痛い目にあいます。(ほぼ確実に)

メーカーさんは塗料とは謳っていませんが、企業秘密の為成分非公開となっている

腐朽菌を入りにくくする水性木材防護保持剤もあります。

この製品、酸化鉄が入っていて杉は直ぐにグレーに変わるけれど桧はなかなか色が変わらない

と言うHP上の情報から察するに、タンニンの多い木を鉄媒染しているのだと理解しています。

非常に優れていると思いますがこれを塗ったり含浸させたりしたら全てOK、、、、ではない筈です。

 

木は杉であろうとヒノキであろうと、弊社がウッドデッキで使うパープルハートであろうと

なんならウォールナットでもチークでも、外部で使えばいずれグレーに変わります。

樹種は関係ないです。100%変色します。

 

 

住宅で例えば外壁や木の塀に使うとしたら

お値段が高い順に

セコイアレッドウッド>米杉>桧=唐松>杉  等が一般的かと思いますが、いずれも赤身限定です。

(個人的経験則ではセコイアの白太は他の樹種より長持ちする気がします)

丸太の中心付近を赤味、樹皮に近い色が白い部分を白太(しらた)と呼びます。

↓樹芯に近い少し色が濃い部分を赤味、樹皮に近い白っぽい部分を白太と呼びます。

どんな木を使っても白太であればそれほど水に耐性はありません。赤身と白太では恐らく倍半分以上に耐久性は違います。

逆に上にあげた樹種の赤身のみを揃えられれば、もしかしたら塗装などせずに

そのまんま外壁として使っても驚異的な耐久性が有るかと思います。

 

弊社は見た目の温かみを出すために木の外壁はお勧めしています。

ただし、

・無塗装の場合、均一にグレーに染まるまでの間汚らしく見える期間を我慢できるか。

・塗装するのであれば一定期間でメンテナンスが必要

これをご理解いただかないといけません。

弊社の場合、木の外壁を張る時はメンテナンスコストを抑える為に大袈裟な足場を必要としない範囲でご提案しています。

 

↓工事中の2世帯住宅。唐松の外壁材。赤身が強いです。

↓横張部分は唐松。縦張り部分はピーラー。いずれも塗装を掛けています。

因みにウッドデッキはパープルハート。柱はパドックです。いずれも撥水塗装しています。

↓これがセコイアレッドウッドの外壁。世界一背が高くなる木です。