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工務店が加工場を持つ意味
COLUMN
2024.10.18

新潟県長岡市、自社大工の居る工務店、稲垣建築事務所の稲垣です。

昨今では工場を持たない(加工の必要も需要も無いから)工務店の多い中

弊社は加工工場を持っています。

一昔前の工務店はどこも自社で加工場を持って加工の為の機械も揃えていました。

加工場を持てない工務店は各材木屋さんが用意した加工小屋をお借りして加工していたものです。

昨今の住宅は全てが既製品化され(ボクは既製品化自体が悪い事だとは全く思っていません)

そもそも加工しなければならない部材が無いのです。

構造材はプレカットされ

床は化粧シート張り、造作材もシート張り、

床が無垢だとしても無垢フロアメーカーの既製品、

加工を要する部材が極端に減ってきているのです。

これは時代の流れ、受け入れる部分は受け入れつつも抗う所は抗い続けようと思います。

『ひと手間』掛ける事でその家は長く愛され続けると信じていますので。

 

さて、そんなに大きくもないし必要最低限の機械しか無いですが、

ココが無ければ始まらないと思える弊社加工場、

ここ数日、各現場を留守にして狭い加工場に弊社大工全員が集結し

それぞれ違う現場の加工をしています。

万能機は1台しかないのに同時並行の加工がめじろ押し。

ただでさえ狭い加工場が材料と職人で取っ散らかっています。

もう、しっちゃかめっちゃかです(笑)(普段はもう少し整然としています)

 

↑H様邸・ピーラー丸柱の加工。

ボクが若かりし頃、室内にも外部にもピーラーや米ヒバの丸柱を沢山立てました。

ポーチ廻りに丸い木の柱が建っているだけで弊社の現場と認知される程でした。

数年ぶりにピーラーの丸い柱を建てます。

ピーラー、高くなりました。

昔はお手頃価格だったのに現在は高級材の仲間入りです。

実は全ての針葉樹の中でピーラーが一番好きだったりします。

松ヤニ問題(松じゃ無いケド)で、痛い目に合ったりしてますが大好きな木です。

↑W様邸・丸太梁が掛かる現場の、丸太を受ける側の梁の加工。

梁自体はプレカットされたものですが、丸太の仕口(受け口)は手加工が必要なので

丸太の掛かる梁だけ先に納品してもらってます。

↑S様邸・天井にルーバー調に木を取り付けるのですが、その部材の超仕上げ加工。

材種は今となってはとても高くなってしまった米杉(レッドシダー)。

ボクは鼻が利かないのでわかりませんが大工さんたちは米杉の甘い匂いがいいと言ってます。

 

そうこうしているうちに

お付き合いのある材木屋さんから「〇〇のこのくらいの大きさの一枚板持ってない?」とLINEがあり

効率が悪い事この上ない点在した倉庫を物色するも適材は無し。

指定樹種のストレートカット(四角に製材済)なら沢山あったのですが、両耳付の板が無かったです。

もう少し整理して、弊社で建築される方だけでなく広く無垢材を住まいに取り入れていただけるよう

ご覧いただける場所が欲しいと強く思った次第です。

 

他にも

20年ほど前にキッチンだけのリフォームをお手伝いさせていただいたお宅から

和室2間続きの間仕切りの敷居がおかしいとご連絡をいただき、拝見しに行ったら

白蟻に駆逐されていてボロボロだったので、大急ぎで敷居の加工をしている大工が居たり

長さ4m、巾90cmの巨大なデスクカウンター加工を

一人で四苦八苦してひっくり返している大工が居たり、

ここ数日の加工場は密度の高い戦場です(笑)

 

そんな中、これからの現場の適材を見に倉庫をめぐる中で

この木、ローズウッドに見えるけど(鼻の利かないボクですが)バラの香りはしないし

この木は一体なんでしょう?

全国の材木・銘木屋さん、お分かりであれば教えてください。