社長コラム

COLUMN

フルリノベはとても大変でとても楽しい
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2025.07.16

「木をデザインする」をコンセプトに新潟県長岡市を中心とした中越地域を主に

注文住宅・リノベーションからプチリフォームをお手伝いしている

稲垣建築事務所の稲垣です。

今月18日から公開の鬼滅の刃~無限城編第一章が待ちきれません。

何時のころから鬼滅の刃は大正時代に本当にあった物語だと脳内変換されている還暦です(笑)

 

物価高。当然住宅業界も例外ではありません。

数年前のウッドショックの時は必ず木材価格は落ち着くと言う確信がありました。

(結果、落ち着いたものの高止まりしてしまいましたが)

現在は資材ショックとでも言うべき全ての建築資材が値上がりし続けています。

住宅は元々高額なので個々の部材の値上がり幅が数%であってもその集合体となる総額はガクゼンとする数字になります。

けれど断言します。住宅価格は今が底値。

今後は物価高に加え、ココから5年位の間に全職種の職人が急激に不足します。

職人、住まいの造り手が居なくなれば価格が高騰するのは火を見るより明らかです。

 

で、昨今は新築が高いので中古住宅をお買いもとめになってリフォームされると言う方も増えて参りました。

条件付きで賛成です。

既存の状態が芳しくない場合はリノベより建て替えを選択された方が良いと思われる場合もあるのです。

お金を掛けてどこまで出来るか。その予算は対費用効果として許容されるのか。

計画段階で考えなければならない事柄は新築よりリノベの方が多いと感じています。

 

昨年、築40年、延べ面積70坪超、2階建てのお宅のフルリノベ工事のお手伝いをさせていただきました。

2階を全て取っ払い(減築)して平屋にして、1階もフルリノベーションと言う大規模な工事です。

・新築マンション購入・中古マンション購入の上リノベ・ダウンサイジングしての建替え・そしてフルリノベ。

選択肢として4つあり、様々ご相談させていただきました。

正直、建築屋として一番楽(簡単)なのは建て替えですが、お勧めしませんでした。

お勧めしたのはフルリノベ。(新築時は弊社施工ではありません)

そのお客様との出会いは25年位前でしょうか?

当時の完成住宅見学会にお越しいただき、小規模なリフォームのご相談をいただいてから

お風呂、キッチン、庭(作庭)、フェンス、様々なお手伝いをさせていただいていました。

築40年でも安心してリノベをお勧めした理由。

様々な部分的リフォーム工事をお手伝いしていて、築年数の割には想定された被害(蟻害等)が全くない事。

当時としては珍しく全ての図面が揃っていた事。(結果、図面と違う箇所も少なくは無かったですが)

床下の高さが高く、床下に容易に潜り込んで基礎と床組の状態を確認できたこと。

床の水平(レベル差)が想定より少なかったこと。(大きな地震を何度も経験しているのでレベル差がすごいお宅もあります)

そしてなにより、お客様の家に対する愛着が強かったこと。

 

基本的にリノベ不可能な家は無いと思っていますが対費用効果を考えると

現状確認できる範囲がどれほどのものか?に掛かってくると思います。

床下が確認できずにリフォーム着工後、多くの範囲で蟻害が発見される事もしばしばあります。

そして、リノベにせよリフォームにせよ予期せぬ事態はほぼ100%起こります。

お手伝いしたこのお宅にもありました。

・図面において柱があるはずの所に無い⇒想定内

・図面において柱が無いはずの所に有る⇒想定内

・図面において梁成(梁の高さ)が300㎜と記載の所120㎜しかない⇒想定外

・意味不明な所に梁がある⇒ビックリ!

・経年変化で柱が螺旋状に捻じれている⇒想定内でしたが捻じれ方がすごかった

・ボルト孔はあるのにボルトで締めていない箇所多数

⇒想定内ではあってけれど造作を拝見するに、もう少しちゃんとした大工さんだと思っていた

 

数年しか経っていない弊社がお手伝いしたキッチンリフォームで入れ替えた

奥様こだわりの(お好きな)赤いシステムキッチンも再利用。

(食洗器だけミーレに入替)

そんなに古くなかったエアコンもすべて再利用。

使えるものはすべて再利用。

全部を新しくする必要なんて全くないと思っています。

 

リフォーム専門店と言う職種も存在しますが

その時代その時代の建て方を知っている(新築している)人間しかリノベ工事はできないと思っていて

その時代の建て方を知っていてもリノベ、リフォームは図面だけでは読めないライブ感がたまらなく好きです。

想定を超えていたらボクとウチの大工職人で、現場にて色々な方法を考えます。

リノベは大変。でもとっても楽しいのです。