2024.04.04
雪国の住宅外壁の話②
昨日、台湾で大きな地震がありました。
有名な話ですが東日本大震災の際、人口2300万人強の台湾の方々が200億円以上の支援を下さいました。
能登半島地震の時もあっという間に25億円。
加えて、いち早く救援部隊を送ると日本政府に打診したものの陸路が閉ざされていたためお断り、
だったら海から、と言う申し出までしていただいたと聞いています。
沢山の寄付をいただいたからお返しする。のも大切ですが、
心を寄せていただける方々には気持ちも一緒にお返ししないといけないと思っています。
新潟県長岡市、自社大工の居る工務店、稲垣建築事務所の稲垣です。
出来得るなら台湾の被災された皆さんがひもじい思いをされる事の無いように、
もしかしたらまだ建物の下敷きになっている方の救出にも日本国は迅速に動いていただきたいものです。
台湾加油 です。(台湾ガンバレ)
さて、住宅外壁の話の2回目。
最近ご要望が多くなりつつある塗り壁。目地が出来ないシームレスな表情なのでスッキリしてます。
↑(新潟市内のお宅)白い部分が塗り壁です。ついでに黒い塀も塗り壁です。
今は大小さまざまなメーカーさんが塗り壁材を発売されていますが
ボクのこの質問↓に明確に答えていただけたメーカーさんは今のところありません。
『外壁が最悪1か月程度雪に触れ続ける可能性がありますが、その辺りの御社製品データはありますか?』
返ってくる答えは「札幌でも実績があります」「盛岡でも施工されています」。
気温では無く、雪の問題を心配しているのだけれど、今のところ安心させてくれるメーカーさんはありません。
大雪の年は1か月くらいは(地盤近くの外壁が)雪に触れ続ける事になるので心配なんです。
住まい造りを考える際に雪はやっぱり要らないですよね。
外壁にとどまらず、屋根の雪止め金具はどのくらいのピッチで入れるかとか
今流行りの細っそくてひょろっとした庭木も雪国では無理(雪で折れます)
外構も雪の事を考えて作りこまないといけませんし、雪の降らない地域と比べたら考えなきゃならんことが増えますね。
新潟市内では何軒かの塗り壁のお宅もお手伝いしていますが、長岡市以東ではまだ実績ありません。
でもココのメーカーだろうと言う所まで絞れたので積雪地でも採用していく方針です。
少し話はそれますが、上で雪止め金具の話題を出して思い出したことがあります。
建て替えのお客様に入居していただく用に仮住まい専用の建物を所有しているのですが
何年か前、その建物の隣家が売りに出され、購入された方が某リフォーム業者さんに依頼されて
屋根や外装のリフォームをされました⇒その冬大雪が降りました
⇒雪止め金具が少なかった為に雪の重さに耐えきれず金具がすべて外れて
2m近く積もった雪が弊社所有の建物のサッシ、硝子を破壊して部屋に雪が雪崩れ込んだ。
と言う恐ろし事故があったのです。
幸いにして仮住まいをされておられる方がいない時期でしたが
人がいたら怪我は勿論のこと、もしかしたら命に係わるかもしれなかった事故です。
予算の関係なのか雪止め金具を間引いている現場も散見されますが、ちょっと怖いです。
話を戻します。次に木の外壁
ある条件さえクリアすれば木の外壁に塗装は必要ないと本気で思っています。
その条件は「すべて赤味材」で外壁材料が揃えられるのなら。
丸太を思い浮かべてください。
樹皮に近い部分を白太(しらた 辺材などとも呼びます)、
芯に近い色の濃い部分を赤味とか赤太(芯材とも呼びます)と呼びます。
↑写真の丸太は凄く程度のいい丸太なので白太部分は少ない方ですが通常は白太がもう少し多いかと思います。
この芯に近い赤味の部分(色の濃い部分)のみを外壁に使うのであれば塗装は必要無いと思っています。
それだけ腐りにくいですし虫も付きにくいです。
木は紫外線にさらされると杉であれ他の木であれ、いずれは必ずグレーに変色します。
そのグレーに染まり切るまでは少し汚く見えてしまう事もあります。
それさえ我慢できて赤味のみの材料であれば外壁は無塗装でぜんぜんいけちゃうと思います。
ウッドロングエコとかエコウッドトリートメントと言う製品名の木材保護保持剤がありますが
比較的短時間に無塗装経年変化後の色に変える事が出来るモノです。
メーカーさんはコレを塗料とは呼んでいません。詳しい成分も非公表の様です。
ただ、成分に酸化鉄が含まれている事から
木材内部のタンニンと言う成分と鉄を化学反応させ、着色ではなく変色させているものと理解しています。
要は鉄媒染とか草木染とか呼ばれる類のものですね。化学反応によって起こる発色ですので色は選べません。
他の色(グレー以外)がイイのであれば着色になります。
着色する場合は必ずメンテナンスも必要になりますので、弊社では木の外壁を着色で使う場合は
大袈裟な足場を必要としない部分にのみご提案しています。
↑写真はピーラーと言う木に着色で仕上げています。
若い頃からこの色が好きでした。