2024.11.08
木の底力(香り編)
突然ですが、ボクの鼻はあまり役に立ちません。
匂いと言うヤツをあまり感じない
新潟県長岡市、『木をデザインする。と言う発想』をコンセプトにする稲垣建築事務所、稲垣です。
弊社事務所が完成したのは中越地震の年の春。なのでもう20年。
フローリングをサンプルとしてご覧いただく為にプチリフォームしてからでも10年位は経ちます。
けれど、事務所に来て頂くお客様に「木のいい香りがしますね」って言われて、「有難う御座います!」
とは言うものの、残念ながら自分自身は木の香りをまったく感じていません。
木の香り。
木の香りにはリラックス効果が有ると言われていて、睡眠時のα波が増加することが確認されています。
脈拍も安定し、非常に落ち着ける状態になるのだそうです。
木の種類によって香りは違うのですが、その違いは木の中に含まれている精油(芳香油とも言います)成分の違い。
この精油成分をフィトンチットと呼びます。名前はご存知の方も多いと思います。
フィトンチットと言うと森林浴で浴びる無形の木の効用って考えておられる方も多いのですが、
実は樹種により異なる香りの元の油の事なんですね。
杉(針葉樹)の香りを嗅いだことが無い方は殆どいらっしゃらないと思うし
桧(針葉樹)の香りは入浴剤やルームフレグランスにも利用されるくらい良い匂いです。
青森ヒバや能登ヒバ(針葉樹)の香りはとっても癒される香りです。
広葉樹(オーク、ナラ等)はフィトンチッドをほとんど含んでいない為ほとんど無臭です。
(削りたてに鼻を近づけてクンクンすればわかりますが)
広葉樹で香りが強いのは楠(クス)と言う木。防虫剤をクスの精油から作ったりします。
大別して香りがする木はフィトンチッドが多く含まれる針葉樹が多いです。
で、広葉樹の中にはとっても臭い木もあるんですよ。
もちろん削って、仕上げてから時間が経てばその匂いも消えていきます。
なので、匂いのキツイ木を使う場合は、出来るだけ早めに仕上げる事が肝要かと思います。
↓床/ヒノキ 天井/杉
竣工後しばらく経ちますがまだまだフィトンチッド(木の香り)に満たされています。
フィトンチットは木の色にも影響しているそうですが、色の話はまた次回。