2024.12.12
リノベーションでも許容応力度計算
「木をデザインする」という発想をコンセプトに
新潟県長岡市(小千谷市・見附市・三条市)で注文住宅・リフォームをお手伝いしている工務店
稲垣建築事務所の稲垣です。
薄氷を踏む想いでした。
築約40年の佇まいの美しい大きなお宅の大減築+フルリノベ工事。
工事としては2階を全て減築(2階建てから平屋に変更)+1階のスケルトンリノベーション。
↓ほとんど使われていなかったとおっしゃる雰囲気のいい和室も無くなってしまいます(´;ω;`)
(残したかったのですが、ご要望を全て入れ込むにはココを潰さざるを得ませんでした)
佇まいが美しいでしょ?
まだ暑い最中、仮住まいへのお引越しのお手伝いから始まり
雪が本格的に振り出す前になんとかかんとか屋根を掛け終えました。
約1か月ほど遅れています。原因は外壁と軒裏材料に含まれていたアスベスト。
解体の際にはシートで覆って飛散防止をした上で、そおっと、本当にそぅっと、1枚ずつ剥がします。
もちろんすべて手作業。アスベストの含まれ得ている材料を折ったり削ったりなんてご法度なのです。
元々のお宅が大きいのでこれだけでかなりの時間を取られてしまいました。
従前のお宅の図面が残されていたのが幸いし、
残す柱・梁、新設する柱・梁、を検討しつつ許容応力度計算をしています。
一番に目指した積雪2m時の耐震等級2は残念ですがクリアできず。
既存の梁の3/4を入れ替えないと達成できないことがわかり
積雪1.5m時の耐震等級2で計算しています。
ただ、、、スケルトン解体してみたら残されていた図面があまり当てにできない事が判明し
有るはずの梁(実際は無い)、
無いはずの柱(実際は有る)、
何故にこんな高さに梁が?(撤去しないと頭ぶつかる)、
昔の図面には梁成(梁の高さ)300と記入してあるのに実際は180㎜、
昔の図面には梁成(梁の高さ)150と記入してあるのに実際は360㎜、
等々様々あり、現場で瞬時に対応できる瞬発力は自社大工がいてこそだと感じました。
(1日に何度も予定に無かった材木を運んでくれた材木屋さんには申し訳なかったです)
1階桁高さ(以前の2階床梁の高さ)が全部で4種類あり
(2階の床高さが4か所で違う)大変苦労いたしました。
想定の範疇だったことは
・既存材木が狂っている(捻じれ等)であろう事
⇒40年前なので乾燥材と呼ばれる材木はありませんでした。
よって未乾燥材を使用している為、割れ、捻じれはある程度想定していました。
(予期せぬところから「へ?」と思う鉄骨の梁が出てきましたけれど。なんでなんだろう。。。?)
・壁に断熱材が入っていないかもしれない
⇒天井は確認できたので断熱材の存在はわかっていました。壁も結果、入っていました。
が、立派な和室廻りは土壁で、しかもかなり薄かったので和室はさぞ寒かったことでしょう。
・床の断熱材が無い
⇒これは想定と言うより事前に床下に潜り込んで確認してありました。
床下の断熱材は10年ほど前のリフォーム工事の際、弊社がお手伝いした洗面所・浴室部分を
除いて断熱材は一切なかったです。
(「でしょうね」と言う感じでした)
想定していたのに(意外に)その事象が無かったコト
・白蟻による蟻害
⇒事前に床下は確認していて、その範囲内では蟻害はありませんでした。
が、どこかには潜んでいるだろうと想定していましたが、結果、まったく見当たりませんでした。
(食害された痕跡も無し)
恐らく基礎の高さが高く、換気口の数が多いとは言えない状態でも乾燥状態を保てていたのだと思います。
多少雨にも打たれましたが、耐震パネルを張ってサッシを取り付けたら
大型除湿機とジェットヒーターで乾燥させつつ粛々と工事を進めてまいりたいと思います。