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耐震診断~認識のギャップを埋める
COLUMN
2024.02.20

一昨日、昨日と重い腰を上げて、横に寝かせて重ねておいた1枚板を

意を決して立て掛ける作業をしました。

特に重かったのはパープルハートと国産の椨(タブ)。一人では1ミリも動きませんでした。

「痛てぇ」と言う自分の大き目の寝言で何度起きた事でしょう。

でも当日中に激しい筋肉痛に襲われるという事はまだまだ若いと思っている

新潟県長岡市、自社大工の居る工務店、稲垣建築事務所の稲垣です。

何年も寝かせた割には含水率はまだ使える状態にまでは下がっていません。

硬いからなのかもしれませんが乾きは悪そうです。

 

 

能登半島地震があったせいだと思っていますが

ここ最近耐震改修のお話がチラホラとあります。

その中の数軒は

長岡市から補助をいただき(自己負担は1万円)正式に調査してもらったお家です。

 

でもねぇ

調査書にあるこの壁の筋交い、、、、

両面真壁(壁の両側が和室で柱が見えている)の壁に筋交いはタスキ掛けに入って無いと思います。

(実際、特殊器材で見ればタスキ掛けどころか片掛けすら入っていない)

約45年前(1981年以前)のそのお宅の当時の大工さんが書いたとおぼしき図面には

タスキ掛けの筋交いは確かにあります。でも入らんですよね。

大昔の図面ですし、もしかしたらそこからリフォームされているかもしれないので

基本的には図面を鵜吞みにせず、現地調査をしっかりやらないと診断そのものが信用できなくなっちゃいます。

 

以下、想像の域を脱しません。

耐震診断後の改修にあまりお金を掛けたくないと言うご依頼主の意をくんでなのか、、、、は不明ですが

耐震改修後、上部構造評点0.2が0.5ちょっとになってなにか意味あるの?って思ってます。

でも依頼主さんは

耐震改修工事をするんだから震度6でも7でも倒壊しないようになる。

と思っていらっしゃる訳です。その辺りの認識のギャップは細かく説明して差し上げないと。

どの程度の補強をしないと倒壊の危険から遠ざかれるのか説明が必要です。

因みに上部構造評点とは地盤と基礎より上の木造部分をイメージしていただき

上部構造評点0.7未満     倒壊する可能性が高い

0.7以上1.0未満 倒壊する可能性がある

1.0以上1.5未満 一応倒壊しない

1.5以上     倒壊しない

と、なっています。

 

特に我々が住む新潟県長岡市は

中越地震、中越沖地震の激しい揺れに襲われた後

東日本大震災では長周期のゆったりとした揺れも経験し、今回の能登半島地震です。

それなりに蓄積ダメージがあるはずですので

仮に上部構造評点1.5以上に出来たとしても

それは工事を行わない部分の耐力壁(筋交いとか)が健全であると言う前提に立ったものですので

どこからか保証されるものでもありません。

 

耐震診断も耐震改修も慎重に行わないとダメだと思っています。

まずは認識ギャップを埋める説明が最低限必要かと。