2024.09.13
アップサイクル。と呼んでもいいよね?
やりたいことがあるのに日々に忙殺され、なかなか時間が取れずイライラしている
新潟県長岡市、自社大工でのみ工事をお手伝いしている稲垣建築事務所、稲垣です。
やりたいことがあるのに手を付けられず、そうこうしている内に次のやりたいことが思いつく。
やりたい事が脳内で大渋滞しています。
ボクがまずやりたいのはクリエイティブリユース?アップサイクル?
・クリエイティブリユース
廃棄物をそのまま処分してしまわずに、人の創造力で新しい価値を持ったアート作品にするという活動。だそうです。
ボクがやろうとしているのはそもそも廃棄物ではないし、アート作品なんて作れないのでこれには該当しませんね。
・アップサイクル
本来は捨てられる運命のモノに新たな価値を与えて再生する事。「創造的再利用」とも呼ばれたりします。
アイデアで付加価値が付くので、そのモノのアップグレードと捉えることもできますね。
ボクがやろうとしているのはどちらかと言うとアップサイクル。
アップサイクル的だけれど捨てられる運命にあるモノではなく、需要がなくなったモノに現代の価値を見出せないか?
と思っています。
昔はどこにでもあったし、普通に使われていたし、極々当たり前に家に使われてきた部材。
けれど現代の住宅では需要が無い部材。
一番わかりやすいのは和室に使われたどちらかと言えば高級な部材。
柱もそう。長押(なげし)も廻り縁も杉無垢の天井板も。
一昔前はどれも高級部材です。今は需要が無い。
需要は無いけれど今も沢山の美しい部材はどこかに眠っています。(弊社の倉庫にも(笑))
そう言った本来は良い物だった筈なのに住まいに対する考え方の変遷から時代に取り残された部材。
それを少しだけ手を加えて(手を加えすぎると別のモノになるのでそれはそれで抵抗がある)
現在の住まいにストンと馴染む(受け入れられる)様にしたいのです。
例えば、、、↓
杉の無垢天井。通称二分三。二分三と言うのは厚さが尺貫法の二分三厘≒7.5㎜の無垢天井板。
写真の二分三は正直それほど杢目が美しいわけでも無い極ありふれた天井板。
一昔前の和室の天井は(弊社の場合)殆どがこの杉の無垢天井板でした。
かつて使用した天井板で一番の高級材は確か20万円位したと記憶しています。1坪で20万円。
杉の木目、加えて源平(赤と白が混ざっている)は恐らく日本人のDNAに刷り込まれていて
これを見ただけで「和」に感じてしまうのだと感じています。
ホンモノの無垢の杉。天井板として使えなくてもどこかで形を変えて使いたいと思っています。
こっちは何なんでしょう?↓コイツはそもそも何者だったのでしょう?
一番よくない(割れている)板を引っこ抜いて来ましたが
これの厚さは6㎜くらいしかないので天井板ではない。(と思う)
巾も狭いですしね。
こいつが結構な量ありまして、使ってあげないと気の毒だと思っています。
元々の用途はなんだったのでしょう?
木目は大したことないですが節は無くどれも上品です。
他にも秋田杉の柾の長押(なげし)、鴨居、廻り縁、
行き場を失ったかつての高級材は挙げればキリが有りません。
床の間に建っていた床柱や、そこに取り付く落し掛けもそうです。
そして、
先代(まだ生きてますが( ´艸`))が覚えていたコレ↓
本人は建具の面材で考えていたようです。
楡(ニレ)と言う木の突板。606×2730㎜あります。
この辺は直ぐにでもアップサイクル出来そうですけどね。
杉材のアップサイクルの様子は加工の様子や実際に使った現場などを追ってご紹介します。
いいモノは必ず残っていきます。時代が変わっても。
↑アップサイクルとはちょっと違うかもしれませんが
写真の右側の腰壁に張った杉は
建て替え前のお宅(旧家)の和室の天井に使ってあった二分三です。
ホンモノは古くてもひと手間掛ければ蘇り、輝き出します。